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にんにくの効果がすごい!男女別にわかる効果・副作用・活用のポイント

にんにくの効果がすごい!男女別にわかる効果・副作用・活用のポイント

にんにくは、古くから「食べる薬」として親しまれ、その驚くべき健康効果が現代科学でも次々に証明されています。主要成分のアリシンが免疫力向上や疲労回復効果をもたらし、さらには男性の活力アップや女性の冷え性、むくみ対策、ダイエットと幅広い効果を発揮してくれるのです。

これだけ多くの効果を持っているため、にんにくは万能食材としても知られています。しかし、正しい摂取方法を知らなければにんにくの効果を十分に活かすことはできません。

この記事では、科学的根拠にもとづいたにんにくの効果や、効果を最大限に発揮するための食べ方などについて詳しく紹介します。にんにくを摂取するときに気をつけたい注意点や副作用も紹介しているので、参考にしてみてください。にんにくを日々の健康管理に役立て、パワーを最大限に活用しましょう。

目次

にんにく効果の中心はアリシンなどの有効成分が免疫や代謝を底上げ

食欲をそそるにんにくのあの独特な香りは、アリシンという成分が作り出しています。アリシンは、アリインというアミノ酸の一種が変化してできた成分です。にんにくを刻んだり潰したりして細胞が破壊されると、アリインをアリシンに変換するアリナーゼという酵素の働きが活発になり、アリシンが多く作られます。このアリシンこそが、にんにくが秘めるパワーの源なのです。

アリシンには強力な抗菌作用や抗ウイルス作用があり、さらに免疫システムを活性化させることで感染症から私たちの体を守ってくれます。また、ビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、エネルギー代謝を促進する働きも担っていることが特徴です。

この他、ポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質も豊富に含まれており、これらが活性酸素を除去して細胞の老化を防ぎます。にんにくは単なる食品の域を超え、体全体の健康レベルを底上げしてくれる頼もしい存在なのです。

アリシンが免疫力を高め疲労回復にも効果を発揮する

アリシンはにんにくの最も重要な有効成分であり、免疫力向上や疲労回復効果を発揮することで知られています。風邪やインフルエンザなどの予防にも効果的です。体内にある免疫細胞をアリシンが活性化し、病原体への抵抗力を高めて感染症を予防します。

ある研究では、栄養不足状態にあるマウスのマクロファージがアポトーシスを起こさないようアリシンが阻害することが分かりました。アポトーシスとは、細胞自らが死ぬことです。

マクロファージは、体内に侵入した細菌やウイルスを処理し、感染から体を守る働きをしています。アポトーシスが阻害されるということは、つまりマクロファージの働きが良くなると言い換えることもできます。

この他、アリシンが疲労回復にも効果があることが分かっています。糖の代謝に関わっているビタミンB1と結合し、効率良くエネルギーを産生することで疲労を回復させるのです。疲れが溜まっているときににんにくを食べると良いと言われるのは、アリシンが体を動かすためのエネルギーを作り出すサポートをしてくれることが大きく関係しています。

参考:Allicin, a major component of garlic, inhibits apoptosis of macrophage in a depleted nutritional state

ビタミンB1とアリシンの結合がエネルギー代謝をサポート

私たちの体は、エネルギーがなければ動けません。このエネルギーを作り出すのに必要なのが、クエン酸回路と呼ばれるものです。クエン酸回路では、細胞を動かすために必要なATPと呼ばれるエネルギー通貨が産生されます。このクエン酸回路に必要な補酵素となるのがビタミンB1です。

ビタミンB1は特に糖質の代謝に深く関わっています。しかし、実はビタミンB1単体では体内にあまり吸収されません。ここで活躍するのがアリシンです。ビタミンB1がアリシンと結合するとアリチアミンという化合物に変化します。

アリチアミンはビタミンB1よりも吸収性が良く、さらに効果が持続しやすいことが特徴です。そのため、アリシンが含まれているにんにくを摂取すると、エネルギーを効率よく作れるようになります。

エネルギー代謝をサポートして疲労回復効果を発揮する医薬品タイプのビタミン剤は、アリシンとビタミンB1の性質を活用しているものがほとんどです。ビタミン剤には、アリチアミンの安定性をさらに高めたフルスルチアミンが良く使われています。アリシンは、医薬品にも応用されるほど高い効果を持っている成分なのです。

ポリフェノールが抗酸化作用を持ちアンチエイジングに役立つ

にんにくには、アリシンの他にポリフェノールも豊富に含まれています。ポリフェノールは、強力な抗酸化作用を持つ成分です。この抗酸化作用により、アンチエイジング効果を発揮します。

なぜアンチエイジングに抗酸化作用が重要なのかというと、私たちの体は酸化によって老化が促進されてしまうからです。中でも、活性酸素は強い酸化作用を持ち、細胞や組織を酸化させて老化を進めることが分かっています。

ポリフェノールは抗酸化作用を持っているため、この活性酸素から体を守ることが可能です。また、血管内皮の酸化を防いで動脈硬化の進行を抑制し、心血管系の健康維持に貢献することでも知られています。

さらに、脳細胞の酸化ストレスを軽減する働きもあることから、アルツハイマー病などの神経変性疾患のリスクを軽減する効果があるのではと期待されています。

男性の精力・活力アップににんにくが注目されている理由

にんにくは、男性の精力や活力向上のために古くから重宝されてきた食材です。現代の研究でも、にんにくの効果に科学的根拠があることが明らかにされてきています。

にんにくが男性機能に与える影響は、主に血流の改善と内分泌系への作用によるものです。アリシンをはじめとする有効成分が血管を拡張し、血流を改善して男性機能のサポートを行います。

また、にんにくに含まれている亜鉛は、男性ホルモンの一種であるテストステロンの合成に欠かせないミネラルです。亜鉛は、精子の質や量の向上にも関係しています。この他、ビタミンB1との相乗効果により、エネルギー代謝が活性化され、スタミナや持久力の向上も期待できます。

これらの成分が総合的に作用することで、性的機能の改善だけでなく活力アップや疲労回復、ストレス耐性の向上も得られるでしょう。さまざまなストレスや悩みを抱える現代社会の男性にとって、にんにくはなくてはならない存在です。

血流改善効果により男性機能をサポートすると期待される

にんにくに含まれているアリシンには、血流を改善する効果があります。アリシンは、調理の過程でジアリルジスルフィドやジアリルトリスルフィドなどに変換されます。このうち、ジアリルトリスルフィドは、血中にある赤血球と反応して硫化水素に変換され、血管拡張作用を示すことが特徴です。

また、アリシンには血管拡張作用がある一酸化窒素(NO)の産生を高める働きもあります。これらの作用により血流が改善されるため、男性機能をサポートすることが可能です。十分な血流があることで、必要な部位へ血液が送られるようになるため、機能の維持や向上を実感できるでしょう。

血流改善効果により疲労回復も促進され、持久力の向上にもつながります。さらに、冷え性の改善や抹消循環の向上により、全身の活力もアップさせることが可能です。にんにくの継続摂取による血流改善効果は、薬に頼らないアプローチ法として注目されています。

参考:日本薬学会 環境・衛生部会 ニンニクと健康

テストステロン分泌に関わる間接的な作用も報告されている

にんにくを摂取すると、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が増えることが分かっています。ラットを使った実験では、精巣のテストステロンの増加が認められました。

この研究では、ラットににんにく粉末を含む異なるタンパク質レベルのエサを28日間与えたところ、にんにく摂取群で精巣のテストステロン濃度が有意に上昇したのです。さらに、にんにくの主要成分であるジアリルジスルフィドの投与によりテストステロンの産生を調節する働きがある黄体ホルモン形成ホルモンの分泌が増加したことも確認されました。

テストステロンは、主に男性の性機能や体の発達に関わっているホルモンです。性欲の向上や勃起の促進、精子の形成などに深く関わっています。テストステロンが不足すると、男性力が低下するだけでなく、男性更年期障害であるLOH症候群を引き起こすこともあります。

にんにくを摂取するとテストステロンの値が上昇するため、男性らしさをアップさせたり、いつまでも活力ある毎日を送ったりできるようになるでしょう。

参考:Garlic supplementation increases testicular testosterone and decreases plasma corticosterone in rats fed a high protein diet

美容と健康に敏感な女性からも支持されるにんにくの実力

美容意識が高い女性たちの間で、にんにくが注目されています。にんにくに含まれているアリシンをはじめとする成分が、女性が抱えやすい悩みにアプローチしてくれるからです。

まず、アリシンには血流を改善する効果があります。これにより、冷え性やむくみの改善が期待できます。また、抗酸化作用によるアンチエイジング効果も魅力の一つです。

この他、腸内環境を整える働きにより、便秘や肌荒れを改善する効果もあります。ダイエット面では、代謝促進効果により脂肪燃焼をサポートし、エネルギー消費量を向上させることも可能です。

美容サプリメントとしての商品化も進んでおり、においを抑えた加工食品も多数開発されています。自然由来の成分でありながら科学的根拠にもとづいた効果が期待できるにんにくは、健康と美容を両立したい女性にとって、理想的な食材と言えるでしょう。

にんにくが冷え性・むくみ対策にも効果を発揮する可能性

にんにくには、血管拡張作用があります。そのため、冷え性やむくみ対策にも効果的です。成分の一つであるアリシンが一酸化窒素の産生を促進し、血管を拡張して抹消の血流を改善します。手足の先にある血管まで拡張してくれるため、慢性的な冷え性の改善効果が期待できるでしょう。

また、にんにくには体を温める働きがある食材としても知られています。これらの働きがあることから、冷え性がある女性ににんにくが効果的です。

この他、血流改善により老廃物の排出が促進され、むくみの原因となる余分な水分や塩分の排出もサポートします。にんにくには、100gあたり510mgと豊富なカリウムも含まれていることが特徴です。

カリウムは、体内のナトリウム濃度を調整して水分バランスを正常化する働きがあります。そのため、にんにくを摂取すれば塩分過多によるむくみが改善され、すっきりとした体を手に入れられるでしょう。

参考:文部科学省 食品成分データベース

腸内環境を整える働きが肌荒れや便秘の改善に繋がる

実は、にんにくには腸内環境を整える働きもあります。にんにくの主要成分であるアリシンには、腸内環境を良好に保つ善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌の増加を促進する働きがあります。大腸にすんでいる善玉菌のうち、99.9%がビフィズス菌、残り0.1%が乳酸菌です。そのため、腸内フローラを良い状態で保つためには、ビフィズス菌や乳酸菌の働きが欠かせません。

にんにくを摂取すると、善玉菌が増えるため腸内環境を整えることができます。便秘がちで悩んでいる方は、ぜひにんにくを積極的に摂取しましょう。

腸内環境が整うことで、肌荒れの改善にもつながります。便秘が続くとなんとなく肌荒れしやすいと実感している方が多いかと思いますが、研究によっても便秘の方は肌トラブルが多いことが分かっているのです。

1万人の女性を対象とした研究では、快便グループと比べると便秘グループで肌トラブルの発生頻度が高いことが分かりました。これらのことから、にんにくの摂取により腸内環境が整い、肌荒れの改善効果も期待できます。

参考:森永乳業 便秘が肌状態に及ぼす影響に関する調査結果

ダイエット中の代謝促進にも役立つ自然派サポーター

にんにくは、ダイエットのサポートにも効果的です。アリシンには基礎代謝を向上させる作用があり、安静時のエネルギー消費量を増加させます。アリシンには、この他にタンパク質の消化促進効果や血糖値上昇抑制効果などもあることが特徴です。

また、ビタミンB1との結合によって作られるアリチアミンは、糖質の代謝を効率化して体脂肪の燃焼を促進する働きを持ちます。効率よくエネルギーが作られるようになるため、疲労も感じにくくなるでしょう。

他に、スコルジニンという成分もダイエットのサポートに有効です。スコルジニンには体内に溜まった老廃物の排出を促したり血行を促進したりする働きがあります。硫黄化合物もダイエットに効果的だと言われています。血液中にある血栓を減少させて血流を良くし、代謝を上げて太りにくい体作りをサポートしてくれるのです。

ダイエットと言えばきつい食事制限や運動が必要だとイメージされている方が多いかもしれませんが、にんにくを活用すると効率的に体型管理を行えるようになる可能性があります。

にんにくの効果を最大限に引き出すおすすめの食べ方

にんにくの健康効果や美容効果を最大限に活用するためには、適切な調理法と摂取方法を知ることが重要です。アリシンをはじめとする有効成分は、調理方法により含有量が大きく変わることが分かっています。そのため、にんにくを生で食べるのと加熱して食べるのとでは得られる効果も異なるのです。

また、油や肉と組み合わせて調理すると、脂溶性ビタミンの吸収率が向上します。近頃では、より栄養価の高い黒にんにくも注目を集めるようになってきました。

手軽ににんにくの効果を実感したい方には、サプリメントも人気です。サプリメントであればにんにくのにおいを気にすることなく、いつでも簡単に摂取できます。食事のタイミングも重要です。空腹時ににんにくを摂取すると胃を刺激して胃痛や胸焼け、食欲不振などの症状を引き起こすことがあるため、にんにく単体で食べるのではなく他の食材と一緒に摂取することが推奨されています。

加熱と生食を使い分けてアリシンの効果をうまく取り入れる

にんにくの効果を最大化するには、生食と加熱それぞれの特性を理解して使い分けることが大切です。生にんにくは細胞が破壊されることでアリナーゼという酵素が働き、アリシンが豊富に生成されます。にんにくを刻んだりすりおろしたりした後、10~15分ほど置くと、アリシンの量がピークに達します。

ただし、生での摂取は胃腸への刺激が強いことがデメリットです。特に空腹時はにんにくによる刺激を受けやすく、人によっては胃痛や胸焼け、食欲不振などの症状が出てしまうことがあります。

一方で軽く加熱したにんにくは、アリシンの一部が分解されるものの、消化しやすくなり胃腸への負担が軽減されます。また、加熱により生成されるアホエンという成分には血行を促進する効果があることが特徴です。効果を最大化したい方は生で、胃腸への負担を抑えて血行促進効果を得たい方は加熱して摂取すると良いでしょう。

アリシンは熱に弱く長時間の加熱で分解される

アリシンはさまざまな効果を持つ成分ですが、熱に弱い物質です。熱に不安定であり、調理によって簡単に分解されます。また、アリインからアリシンを作るための酵素であるアリナーゼも熱に弱いことが知られています。アリシンを生成する働きは40~60度では91%が維持されますが、60~100度では失活してしまうので注意が必要です。

しかし、アリシンが分解されたり生成量が減ったりするのは必ずしも悪いことではありません。アリシンが分解される過程でアホエンなどの他の有効成分も生成されます。

アホエンには血行を促進する効果もあるため、加熱したにんにくを摂取すれば胃腸への負担を減らしながら健康効果も得ることが可能です。もしアリシンを多く摂取したい場合は、薄切りにして短時間で炒めたり調理の最後の段階で加えたりなどの対策を行うと良いでしょう。

参考:J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター ニンニクにおけるアリイナーゼ活性に対する温度サイクルの影響

油や肉と組み合わせることで吸収率や栄養効率がアップ

にんにくと油、肉を組み合わせた調理法は、栄養吸収率を大きく改善させる理想的な方法です。にんにくに含まれているアリシンは、油と一緒に摂取することで吸収率が上がります。アリシンは加熱に弱い成分ですが、油と一緒に調理すると分解されにくくなるのです。

豚肉との組み合わせは特に優秀で、豚肉に含まれているビタミンB1とにんにくのアリシンが結合してアリチアミンが生成され、疲労回復効果が高まります。豚肉には油も多く含まれているので、アリシンの吸収率を上げるのにも効果的です。

加熱するとアリシンの分解が進んでしまうと聞くと「生で食べよう」と思う方もいるかもしれませんが、加熱によってにんにくの栄養素が完全に消えてしまうことはありません。調理方法を工夫し、自分に合った食べ方を見つけましょう。

にんにくの香りを十分に楽しみたい方は、油と一緒ににんにくを低温で炒めて香りを立たせ、その後に肉類を加える方法がおすすめです。これにより油に香り成分が移り、肉にもにんにくの風味が浸透します。

黒にんにくやサプリでの手軽な摂取方法も人気

黒にんにくは、生にんにくを高温・高湿度環境で3~4週間熟成させたもので、近年では健康効果が高いことで注目を集めています。熟成過程でメイラード反応が起こってS-アリルシステインやポリフェノール類が増加し、抗酸化作用が生にんにくの約10倍まで増加することが特徴です。

また、熟成により糖度が上がり、プルーンのような味わいになるため、生にんにく特有の刺激臭がなく食べやすくなっています。胃腸への負担も少ないため、胃が弱い方でも気軽に摂取しやすいでしょう。においを気にする必要がなく、外出先でも気軽に食べられるのもメリットです。

現在市販されているサプリには、無臭加工されたものや他の健康成分と組み合わせたものなどさまざまな種類の商品が多くあります。サプリならにおいを気にせず手軽ににんにくの成分を摂取できるため、毎日続けたい方に人気です。

にんにくを摂取する際に気をつけたい注意点と副作用

にんにくは健康効果が高い食材ですが、摂取量や体質によっては副作用や注意すべき点があります。適切な摂取量は、生にんにくで1日1~2片、加熱したもので3~4片が目安とされています。これを超える量を摂取すると、胃腸への刺激や口臭、体臭の原因となる可能性があるため注意が必要です。

特に胃潰瘍や逆流性食道炎などの既往歴がある方は、症状を悪化させる可能性があるので念のため医師に相談しましょう。また、アレルギー反応として皮膚の発疹やかゆみなどの症状があらわれる場合があります。そのため、にんにくを初めて摂取するときは少量からはじめるのが賢明でしょう。

にんにくには血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固薬を服用している方が摂取すると、薬の効果に影響が出る可能性があります。この他、妊娠中や授乳中の方がにんにくのサプリメントを使用することに関する安全性はほとんど分かっていません。そのため、該当の方は念のためサプリメントの摂取は控えましょう。

参考:厚生労働省eJIM | ニンニク

過剰摂取は胃腸トラブルや口臭・体臭の原因にもなる可能性

にんにくの過剰摂取は、消化器系にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。生にんにくに多く含まれているアリシンは強い刺激性を持つため、空腹時の摂取や大量摂取により胃粘膜が刺激され、胃痛や胃もたれ、吐き気などの症状があらわれることがあります。

また、腸内細菌のバランスが崩れ、下痢や腹部不快感を引き起こすケースも少なくありません。口臭や体臭の問題も深刻です。にんにくの硫黄化合物が血中に入ると、肺からは呼気として、皮膚からは汗としてにおい成分が排出されます。にんにくのにおいが完全に消えるまでには24~48時間ほどかかるとも言われているため、日常生活に支障をきたさないよう注意が必要です。

にんにくのにおいを軽減したい方は、調理前に皮ごとラップで包み、600Wで1分半ほど加熱してください。その後、水にさらして冷ますとにおいを大きく軽減できます。さらににおいを弱めたい場合は、牛乳やリンゴジュースなどににんにくを浸すと効果的です。にんにくを摂取するときは適量を守り、体調や予定に合わせて摂取タイミングを調整しましょう。

アレルギー体質や薬との併用には慎重な判断が必要

にんにくアレルギーは比較的まれですが、アレルギー体質の方は注意が必要です。症状としては、皮膚の発疹や湿疹、かゆみから始まり、重篤な場合は呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。初めてにんにくを食べる方は少量からはじめ、異常が感じたらすぐに摂取を中止して医師に相談してください。

また、薬との相互作用も注意しなければなりません。にんにくには、抗血栓作用があり血液をサラサラにする効果があります。そのため、ワルファリンなどの抗凝固薬と併用すると、薬の作用が増強して出血傾向が高まる可能性があるのです。

ワルファリンとの影響は気にする程度ではないとの意見もありますが、実際に出血傾向が増強したとの報告もあります。そのため、抗凝固薬を日頃から服用している方はにんにくの摂取を控えた方が良いでしょう。

この他、降圧薬や抗HIV薬との相互作用も指摘されています。にんにくには降圧作用があり、降圧薬と併用すると過度に血圧が低下する可能性があります。また、抗HIV薬を服用している方がにんにくのサプリメントを使用したところ、薬の血中濃度が低下したとの報告もされているので注意してください。

参考:福岡県薬剤師会 ニンニク(ガーリック)と医薬品の飲み合わせ

にんにくの効果に関するよくある質問に回答

にんにくの健康効果を得るために、今日からでもにんにくを摂取しようと考えている方もいるでしょう。しかし、「本当に効果があるの?」「即効性はあるの?」など疑問を抱えている方もいるかと思います。

また、黒にんにくと普通のにんにくの違いや、口臭・体臭対策が気になっている方も多いでしょう。疑問を一つひとつ解決することで、にんにくを効果的に活用できるようになります。

にんにくは食べる薬として古くから親しまれてきた食材です。正しい知識を持って摂取することで、より良い健康維持に役立てられるでしょう。ここからは、にんにくの効果に関する以下の6つの質問にお答えします。

  • にんにくは本当に効果があるの?即効性はあるの?
  • にんにくを食べても効果を感じないのはなぜ?
  • 風邪予防や免疫力アップに本当に効果があるの?
  • ダイエット中ににんにくを食べてもいいの?
  • 黒にんにくと普通のにんにくの違いは?
  • にんにくを食べると口臭や体臭が気になる…対策はある?

それぞれ順に回答します。

にんにくは本当に効果があるの?即効性はあるの?

にんにくの健康効果は数多くの科学的研究で証明されています。そのため、効果はあると言えるでしょう。にんにくの成分の中でも特に注目されているのがアリシンです。アリシンには抗菌作用や抗ウイルス作用、免疫力向上作用があります。しかし、即効性は期待できません。

なぜなら、にんにくはあくまでも食品の一つであり、医薬品ではないからです。劇的な即効性を期待するのは現実的ではありません。にんにくの効果を実感するためには、摂取を継続することが大切です。

なお、どれくらいの日数摂取すれば良いのかについては、まだ確実なデータがありません。ただし、消化促進や血流改善効果については、比較的早く効果を実感できることもあるでしょう。

注意したいのは、即効性を得たいからといってにんにくを短期間で大量に摂取しないことです。適量を継続的に摂取し、にんにくの健康効果を得ましょう。

にんにくを食べても効果を感じないのはなぜ?

にんにくを食べても効果を感じられない理由はいくつか考えられます。まず、摂取量が不十分である可能性があるでしょう。健康効果を得るためには、生にんにくなら1日1~2片、加熱したにんにくなら3~4片が推奨されています。これより少ない量だと、効果を実感しにくいことがあります。

また、調理方法により有効成分が大幅に減少している可能性も考えなければなりません。代表成分のアリシンは、長時間の加熱により分解されます。また、にんにくを刻んだりすりおろしたりしてから時間を置かずに調理すると、アリシンが十分に生成されません。

体質による個人差も大きな要因です。人によってにんにくの成分の吸収率が異なり、思うような効果が得られないことがあります。また、にんにくは万能薬ではありません。あくまでも食品の一つであるため、摂取したからといって必ずしも何らかの効果を得られる保証があるものではないのです。

風邪予防や免疫力アップに本当に効果があるの?

にんにくの風邪予防効果は、多くの研究で確認されており科学的根拠は十分にあると言えます。オーストラリアで行われた研究では、にんにくには抗菌作用と抗ウイルス作用があり、風邪の症状を緩和したり予防したりする効果があることが明らかになりました。

146名を対象ににんにくのサプリまたはプラセボを投与したところ、にんにくを与えたグループでの風邪の発生は24回であったのに対し、プラセボでは65回との結果が出ています。このことから、にんにくには風邪を予防する効果があると言えるでしょう。

また、にんにくには白血球やマクロファージなどの免疫細胞を活性化し、体の防御システムを強化する働きがあります。ただし、風邪の予防効果には個人差があり、にんにくを摂取しているからといって完全に風邪を防げるわけではありません。

また、医薬品のような効果があるわけでもないため、にんにくだけに頼らず生活習慣全体を改善して日頃から風邪予防に努めることが大切です。

参考:Garlic for the common cold

ダイエット中ににんにくを食べてもいいの?

ダイエット中ににんにくを食べても問題ありません。むしろ、ダイエット中はにんにくの摂取が推奨されます。にんにくは100gあたり129kcalと低カロリーでありながら、代謝促進効果を持つ優秀な食材です。アリシンには基礎代謝を向上させる作用があり、エネルギー消費量の増加も期待できるでしょう。

また、ビタミンB1との相乗効果により、糖質の代謝が促進されます。ただし、ダイエットに良いからと言ってにんにくばかりを大量に摂るのはおすすめできません。人によっては、大量摂取により胃の不快感や吐き気などの症状があらわれることがあるためです。

ダイエットをしたい場合はにんにくだけに頼るのではなく、バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせましょう。にんにくを取り入れる場合は、食材を蒸し焼きにしたり茹でたりする低カロリーな調理方法を活用し、味付けににんにくを使うことで満足度の高い食事を楽しめるようになります。

黒にんにくと普通のにんにくの違いは?

黒にんにくと普通のにんにくには、製造方法と含有成分に大きな違いがあります。黒にんにくは、生にんにくを高温・高湿度環境で3~4週間熟成させて作られたものです。熟成の過程でメイラード反応が起こり、色が黒くなります。

最も大きな違いは、成分の種類でしょう。黒にんにくは熟成によりアリシンの含有量が減少しています。代わりにS-アリルシステインやポリフェノール類が大幅に増加していることが特徴です。そのため、黒にんにくの抗酸化作用は生にんにくの約10倍あります。

味わいも劇的に変化し、プルーンのような甘みとフルーティーな酸味を持つため、そのまま食べても美味しく摂取することが可能です。また、胃腸への刺激もほとんどなく、特有のにおいも大幅に軽減されています。ただし、普通のにんにく特有の強い抗菌作用は弱くなるため、目的に応じて使い分けることが大切です。

にんにくを食べると口臭や体臭が気になる…対策はある?

にんにくによる口臭や体臭を完全に防ぐのは困難ですが、軽減する方法はいくつかあります。まず、摂取前の対策として、にんにくを皮ごとラップで包み、600Wのレンジで1分半ほど加熱し、その後水にさらして冷やしてください。こうすることで口臭や体臭の原因となるアリシンを産生するアリナーゼが熱によって破壊されにおいが生じにくくなります。

既ににんにく料理を食べた後の口臭や体臭が気になる場合は、りんごがおすすめです。りんごに含まれているポリフェノールがアリシンと結合して別の物質に変わるため、においが軽減されます。この他、牛乳を飲むのも効果的です。牛乳に含まれている脂肪分がにおい成分を溶かすため、口臭や体臭を軽減できると言われています。

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