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亜鉛とは何かをわかりやすく解説!不足のサインやサプリの摂取法まで紹介

亜鉛とは何かをわかりやすく解説!不足のサインやサプリの摂取法まで紹介

「亜鉛にはどのような効果があるの?」「不足すると体にどういった影響が出るの?」このような疑問をお持ちではありませんか?

亜鉛は、体内で作ることができない必須ミネラルであり、健康や美容の維持に欠かせない栄養素です。免疫機能を高めたり、味覚を正常に保ったり、肌や髪、爪の健康を支えたりなどさまざまな働きを持っています。

しかし、ストレスや偏食などが原因で現代人は亜鉛不足になりやすく、不足による不調を見逃してしまっていることも少なくありません。さらに、亜鉛の摂取には、吸収率や摂取タイミングなどの注意点もあります。

本記事では、亜鉛の主な効果や不足したときにあらわれる症状、亜鉛を多く含む食品や効率的な摂取方法、サプリメントの活用法まで幅広く解説します。健康や美容を気にする方、食生活を見直したい方はぜひ最後までご覧ください。

目次

亜鉛とは体内で合成できない必須ミネラルのひとつである

亜鉛は、人体にとって非常に重要なミネラルです。全身の細胞に亜鉛が存在しており、亜鉛が不足すると感染症にかかりやすくなったり、味覚異常が出たりすることがあります。小児で不足すると、発育不良を生じ、身長や体重が十分に増えない場合もあるので注意しなければなりません。

また、約100種類もの酵素の触媒を活性するのにも必要であるため、毎日しっかりと亜鉛を摂取することが大切です。しかし、私たち人間の体内で亜鉛を生成することはできません。このように、人間の体に必要でありながら体内で生成できないミネラルのことを、必須ミネラルと呼んでいます。

2003年と少し古いデータではありますが、亜鉛の欠乏により味覚異常が出ている患者数は、日本全国に23万人いると推定されています。亜鉛不足に陥っている方は、意外と少なくないのです。

近年では、超高齢者会が加速しており、さらに慢性疾患の患者数も増加しているため、亜鉛が欠乏している方はさらに増加していると考えられています。

参考:厚生労働省eJIM | 亜鉛[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者]
   一般社団法人 日本臨床栄養学会 亜鉛欠乏症の診療指針 2018

亜鉛を摂取することで得られる健康効果6選を解説

亜鉛は体内のさまざまな生理機能に関わる必須ミネラルであり、十分量を摂取すると多くの健康効果が期待できます。近年、特に注目されているのが免疫細胞の活性化作用です。免疫細胞の働きを活性化させることで、風邪をはじめとした感染症にかかりにくい体を作ります。

また、味覚をつかさどる味蕾(みらい)細胞の再生を助け、味覚を正常に保つ働きがあることは有名です。さらに、男性ホルモンであるテストステロンの分泌に関与し、性機能や精子の質の維持もサポートします。

美容面では、肌や髪、爪のターンオーバーを促進し、美しさの土台を整える働きがあることが特徴です。この他、抗酸化作用によって細胞の老化を防ぎ、動脈硬化や生活習慣病のリスクを軽減する働きがあることも知られています。

それだけでなく、成長期の子どもの骨や筋肉、脳の発達を支えるためにも欠かせない栄養素です。このように、亜鉛は子どもから大人、高齢者まであらゆる年代で重要な役割をはたしています。

免疫細胞を活性化し風邪や感染症に強い体をつくる

亜鉛は、免疫細胞の正常な働きに欠かせないミネラルです。これまでの研究により、亜鉛が欠乏すると感染症にかかりやすくなることが分かっています。

亜鉛欠乏がヒトのT細胞の機能に与える影響を調査したところ、亜鉛欠乏が免疫機能に関わっているヘルパーT1細胞とヘルパーT2細胞のバランスを崩し、ヘルパーT細胞由来のサイトカインの産生を減少させる効果があることが明らかになりました。

また、CD4+ T細胞が新しく作られるために必要な細胞の割合も減少し、細胞性免疫の低下が観察されています。加えて、ナチュラルキラー細胞の活性やキラーT細胞の前駆体の割合も減少し、免疫応答全体の低下が見られました。

このことから、亜鉛の適切な摂取が免疫細胞の活性化に深く関わっていることが分かります。ストレスや過労、加齢によって免疫機能が落ちている方にとって、亜鉛の摂取は重要な健康対策となるでしょう。健康な毎日を送るためにも、日々の食事やサプリメントで亜鉛を十分に補給することが大切です。

参考:Zinc and immunity

味覚を正常に保ち食事の楽しみを損なわないようにする

味覚を維持するためにも、亜鉛は重要な役割を担っています。味覚は、舌にある味蕾と呼ばれる感覚細胞によって感知されており、この味蕾の働きには亜鉛が不可欠です。この味蕾の細胞は、新陳代謝によって常に再生されています。再生には、亜鉛が必要であり、不足すると新陳代謝がうまくいかず味蕾の機能が低下し、味覚障害を引き起こす原因となるのです。

味が感じにくくなると食欲が減退し、栄養不足や体力の低下につながる恐れがあります。特に高齢者や偏食傾向がある方、ストレスや疾患を抱えている方は、亜鉛不足による味覚異常が起こりやすいので注意が必要です。

味覚を正常に保つことは、食事を美味しく楽しむためだけでなく、日々の栄養バランスを整えるうえでも重要な役割をはたします。亜鉛を適切に摂取することは、健康的な食生活の維持にもつながるのです。

ただし、味覚異常は亜鉛の不足のみで起こるわけではありません。薬の副作用や糖尿病、腎臓病などの全身疾患が原因のこともあるため、症状が出た場合は医療機関を受診して検査を受けましょう。

参考:奈良県医師会 亜鉛不足と味覚障害

成人男性の性機能や精子の質の維持にも推奨される

亜鉛は、男性の性機能維持にも深く関わっており、特にテストステロンの合成に欠かせない成分です。テストステロンは男性ホルモンの一種であり、筋肉の維持や性欲、精子の生成などに影響を与える重要なホルモンとして知られています。亜鉛が不足すると、テストステロンの分泌量が減少し、性欲の低下や勃起機能障害、精子の数や質の低下が見られることがあるので注意しましょう。

実際に、不妊症の治療で亜鉛を補給すると精子の運動率や濃度が改善されたという報告も存在します。また、8件の臨床研究と30件の動物実験を含むデータを総合的に解析したところ、亜鉛欠乏症がテストステロン値を低下させ、亜鉛を補給するとテストステロン値が向上することが分かりました。

さらに、亜鉛は前立腺の健康維持にも関係しており、前立腺肥大症の予防につながるとも考えられています。日本で行われた研究では、2010名の不妊症の男性のうち、40%以上の男性で亜鉛が欠乏していたとのデータが出ており、亜鉛の不足が精子数の減少に関連していることが明らかになりました。

参考:Correlation between serum zinc and testosterone: A systematic review
   Evaluation of the serum zinc concentration in male infertility patients: an analysis of 2010 cases

肌・髪・爪の健康維持に役立ち美容面でも高い効果

亜鉛は、美容の面でも大きな効果を発揮します。肌、髪、爪はすべてたんぱく質から構成されており、これらの生成や新陳代謝には亜鉛が必要不可欠です。亜鉛が不足すると、肌荒れや乾燥、髪のパサつき、爪の割れやすさなどのトラブルが発生しやすくなります。特に肌では、皮脂分泌のバランスを整える作用があるため、亜鉛の摂取はニキビや吹き出物の予防にも有効です。

また、細胞分裂を活性化する働きもあることから、肌のターンオーバーを正常に保ち、透明感のある健やかな状態を維持するのにも役立ちます。髪や爪も同様に、新陳代謝を促し丈夫で美しい状態を保つことが可能です。美容目的で亜鉛のサプリメントを活用する女性も増えており、外見の美しさを内側から支える栄養素として亜鉛の注目度が高まっています。

もちろん、男性にとっても亜鉛は重要な栄養素です。健康な髪を維持するためには、ヘアサイクルを整える必要があります。ヘアサイクルには成長期、退行期、休止期の3つの期間があり、亜鉛にはこれらの期間を正常に戻す働きがあると期待されているのです。

抗酸化とホルモン作用で老化や生活習慣病を抑える

亜鉛には抗酸化作用があり、活性酸素による細胞のダメージを防ぐ働きがあります。活性酸素は、加齢やストレス、紫外線、喫煙などによって体内で生成される物質のことです。細胞を傷つけ、老化や生活習慣病を引き起こす原因になると考えられています。

亜鉛は、この活性酸素の働きを抑制するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の補酵素として働くため、活性酸素の働きを抑制できるのです。そのため、亜鉛を摂取すると、細胞の酸化ストレスを軽減し、老化予防に役立つ可能性があります。

また、ホルモンの分泌にも関与しており、特にインスリンや甲状腺ホルモンなど代謝をつかさどるホルモンの働きを支えているのも特徴です。これにより、血糖値のコントロールや脂質代謝の正常化を促進し、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防にも貢献します。

さらに、ここ数年で猛威を振るうようになった新型コロナウイルス感染症は、亜鉛不足により感染リスクが増加することも分かりました。これらのことから、健康を維持するためには亜鉛の摂取が大事であることが分かります。

子どもの正常な成長と発達を支える栄養素として重要

亜鉛は、成長期の子どもにとっても重要な栄養素です。骨や筋肉、内臓などの身体の各組織は、細胞の分裂やたんぱく質合成を通じて発達していきます。この過程で亜鉛が必要になるため、子どもの成長を円滑にサポートするためには、亜鉛が欠かせません。亜鉛が不足すると、成長ホルモンの分泌が減少したり骨や筋肉の形成が遅れたりするため、身体の発育に悪影響をおよぼす可能性があります。

また、集中力や認知機能にも影響を与えるとされ、学習面や情緒の安定にも関わってくるため、心身両面での発達を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。集中力や認知機能にも影響してくるのは、亜鉛が脳の構造と機能にも深く影響しているためです。特に、急激に身長が伸びる小学校高学年から中学生にかけての時期は、必要量が増加するため、意識的に亜鉛を摂取する必要があります。

ただし、亜鉛欠乏症と認知機能の発達の関連性はまだ解明されていません。成長期の健やかな体作りのためにも、日々の食生活で十分な亜鉛の摂取を心がけることが重要です。

参考:Zinc deficiency and child development

亜鉛を多く含む食品をランキング形式でわかりやすく紹介

亜鉛を効率良く摂取するには、含有量の多い食品を日常的に取り入れることが効果的です。ここでは、亜鉛を多く含む食品をランキング形式で1位から10位まで紹介します。

順位食品名亜鉛含有量(mg/100g)目安量補足情報
1位牡蠣(水煮)18.0約194~250gタウリンやビタミンB12も豊富な「海のミルク」
2位かたくちいわし7.9約443~570gDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が豊富
3位牛のひき肉(焼き)7.6約461~592g良質なたんぱく質を多く含む
4位牛もも肉(茹で)7.5約467~600g高たんぱく・低脂肪でヘルシー
5位ピュアココア7.0約500~643g食物繊維やポリフェノールが豊富
6位まいたけ(乾燥)6.9約507~652g低カロリー・低脂質
7位リブロース(茹で)6.5約538~692gビタミンB1・B2・B6・B12などのビタミンB群が豊富
8位牛肩ロース6.4約547~703gコラーゲンが豊富
9位抹茶6.3約538~714gカテキンやテアニンなどが豊富
10位ほたてがい(煮干し)6.1約574~738gタウリンが豊富

※目安量は成人男性と成人女性の耐容上限量を基準として計算

参考:文部科学省 食品成分データベース

亜鉛が不足するとどうなる?身体に現れるサインを解説

亜鉛が不足すると、体のさまざまな部位に不調があらわれることがあります。亜鉛は細胞の新陳代謝や酵素反応に関与しているため、不足状態が続くと味覚異常や抜け毛、肌荒れなどの症状が生じやすくなるのです。特に味覚障害は、舌の味蕾の再生に亜鉛が必要なため、比較的早期に発生する傾向があります。

また、髪や爪もたんぱく質で構成されており、亜鉛不足により強度が落ちたり抜け毛が増えたりすることがあるので注意しなければなりません。皮膚のバリア機能の低下によって湿疹やかぶれ、慢性的な肌荒れが見られる場合もあります。

このようなサインは、体が亜鉛不足を知らせる重要な信号と言えるでしょう。普段から食生活に気を配り、不足を防いで健康状態を良好に保つことが大切です。

なお、十分量の亜鉛を摂取していても亜鉛不足になることがあるので注意しましょう。亜鉛の吸収を阻害する成分としてフィチン酸が知られています。フィチン酸は、ごまや大豆、ピーナッツなどに多く含まれており、摂りすぎると腸から亜鉛が吸収されるのを阻害します。

味覚障害・抜け毛・肌荒れなどは亜鉛不足の代表的な兆候

亜鉛不足が引き起こす代表的な症状には、味覚障害、抜け毛、肌荒れなどがあります。味覚障害は、舌にある味蕾細胞の再生が妨げられることで発生するものです。味が感じにくくなる、食事が美味しく感じられないなどの問題につながります。

味覚障害は、特に高齢者や偏食傾向の強い方で見られやすいことが特徴です。この他、亜鉛不足は抜け毛の原因になることもあります。髪の成長にはたんぱく質合成や細胞分裂が必要不可欠であり、これらの生理機能に亜鉛が深く関与しているのです。

実際に、脱毛症の方に亜鉛を補給すると髪が再生することが知られています。休止期脱毛症と診断された115名について行われた研究では、被験者の9.6%に亜鉛欠乏が見られました。

また、亜鉛の欠乏は皮膚の新陳代謝にも影響をおよぼし、肌荒れや乾燥、ニキビなどの肌トラブルを起こしやすくする原因となります。これらはすべて身体からの重要なサインであり、放置せず早めに栄養状態を見直すことが重要です。

参考:The Role of Vitamins and Minerals in Hair Loss: A Review

ストレス・偏食・過剰な運動なども亜鉛不足を招きやすい要因

亜鉛不足は、単に摂取量が少ない場合だけでなく、生活習慣や体内環境によっても引き起こされます。例えば、過度なストレスは消化吸収機能の低下や代謝の乱れを招き、体内の亜鉛利用効率を下げる原因となるのです。

また、亜鉛が不足しやすい偏食を続けていると、当然ながら亜鉛不足のリスクが高まります。さらに、運動を習慣としている方も注意が必要です。

汗に含まれる亜鉛の排出量は多く、激しい運動を日常的に行うことで体内の亜鉛が失われやすくなります。ダイエット中の方やスポーツ選手などは、栄養バランスの乱れや過剰な運動により、知らず知らずのうちに慢性的な亜鉛不足に陥ることがあるので注意しましょう。

このように、ストレス、偏食、過剰な運動といった生活習慣は、いずれも亜鉛の吸収阻害や排出量増加に直結しやすいため、生活スタイルを見直すことが大切です。

特にベジタリアンや高齢者は不足しやすく注意が必要

亜鉛は、動植物性食品に多く含まれる栄養素であるため、特にベジタリアンやビーガンといった植物性食品中心の食事をしている方は、不足しやすい傾向にあります。植物性食品にも亜鉛は含まれているものの、玄米や豆類に多く含まれているフィチン酸という成分が亜鉛の吸収を妨げる働きを持っているため、実際に体内へ取り込まれる量が少なくなるのです。

また、高齢者も亜鉛が不足しやすいので注意しなければなりません。加齢により胃腸の働きが低下して亜鉛の吸収率が落ちる他、食事量そのものが減ることで摂取量そのものが減少しがちになります。

さらに、利尿薬や制酸薬などの薬の服用により、亜鉛の排出が促進され、慢性的な亜鉛欠乏の状態に陥ることもあります。高齢者では味覚の変化や食欲不振が起こりやすく、これによって食事の摂取量が減り、亜鉛不足になるという悪循環となるケースも少なくありません。

こうした背景から、ベジタリアンやビーガン、高齢者においては意識的に亜鉛を補う工夫をすることが求められます。

亜鉛を効率よく摂るには?おすすめの摂取方法を紹介

日常生活の中で亜鉛を効率的に摂取するためには、食事の内容や摂取のタイミングに工夫が必要です。亜鉛は体内で合成できないミネラルであるため、食事からの摂取が欠かせません。

また、亜鉛を摂取したとしても腸管から吸収されるのは約30%との報告もあり、吸収率があまり高くないという問題点もあります。そのため、亜鉛の含有量だけでなく吸収率にも目を向けることが大切です。

例えば、亜鉛の多い食品を選ぶことに加えて、吸収を妨げる成分を避ける、吸収を助ける栄養素と組み合わせるなどの工夫を行うことが推奨されます。さらに、体内にストックされにくい性質があるため、毎日継続して摂ることが理想です。

過剰摂取を避けつつ、確実な必要量を摂取するためには、食品だけでなくサプリメントを活用するのも有効な手段となるでしょう。以下では、特に亜鉛の含有量が多い食品や吸収率を高める栄養素の組み合わせについて詳しく解説します。

参考:厚生労働省 亜鉛(Zn)

牡蠣や赤身肉・レバー・ナッツ類は特に亜鉛含有量が多い食品

亜鉛を多く含む食品として最も良く知られているのは、牡蠣です。100gあたり18.0mgと、他の食品と比べて圧倒的に高い含有量を誇ります。牡蠣は吸収率も高く、亜鉛の効率的な補給源として非常に優れている食品です。

次いで牛の赤身肉や豚レバーなどの動物性食品も亜鉛が豊富に含まれています。これらの食品は、亜鉛の吸収を妨げる成分が含まれておらず、体内に取り込まれやすいのが特徴です。

特にレバーは、鉄やビタミンAなどの他の栄養素も多く含まれており、栄養バランスの観点からも優れています。ナッツ類では、カシューナッツやアーモンドが比較的多くの亜鉛を含んでいるので間食や食事に取り入れてみると良いでしょう。お菓子の代わりに食べたり、サラダにトッピングしたりすることで手軽に摂取できます。

これらの食品をバランス良く食生活に取り入れれば、無理なく亜鉛の必要量を満たすことが可能です。日常的に牡蠣や赤身肉を摂り、健康や美容を手に入れましょう。

亜鉛の吸収率を上げるためにビタミンCや動物性たんぱく質を一緒に

亜鉛は、摂取しただけでは十分に体内に吸収されない場合があるため、吸収率を高めるための工夫が必要です。特にビタミンCや動物性たんぱく質との併用は、吸収率を高めるのに効果的だと言われています。ビタミンCには、腸管からのミネラル吸収を促進する働きがあるため、野菜や果物と一緒に摂取すると亜鉛の吸収率を向上させることが可能です。

また、動物性たんぱく質は、植物性たんぱく質と比べて亜鉛の吸収を妨げにくいという特徴があります。牛肉や卵、魚などを組み合わせることで、より効果的に亜鉛を摂取できるようになるでしょう。

一方で、穀類や豆類に多く含まれるフィチン酸、カルシウム、鉄などは亜鉛の吸収を競合的に阻害することがあり、摂取タイミングによっては亜鉛の吸収に影響をおよぼす可能性があります。このように、吸収効率を意識することで少ない量でも効率良く亜鉛を補えるようになるため、食事全体のバランス考えながら賢く亜鉛を摂取していきましょう。

亜鉛をしっかり摂りたいならサプリメントを活用するのも効果的

食事だけで毎日十分な量の亜鉛を摂取するのが難しい場合、サプリメントの活用も有効な手段の一つです。特に偏食気味の方や、忙しくて栄養バランスの取れた食事が摂れない方にとっては、サプリメントは手軽に不足した栄養素を補える心強い味方となります。サプリメントは手軽に摂取できるうえに、含有量が明確に表示されているため、過不足なく摂取できる点が魅力です。

ただし、推奨量を大きく超えて長期間にわたり摂取を続けていると、吐き気や嘔吐、下痢や食欲不振などの症状があらわれることがあります。そのため、サプリメントを使用する際は1日の目安量を守ることが重要です。

また、品質の確かな製品を選ぶことも心がけましょう。あまりに価格が安いものや海外製のサプリメントは、品質が悪く亜鉛が表記どおり含まれていなかったり吸収率が悪い亜鉛が含まれていたりすることがあります。この他、サプリメントだけに頼るのではなく、食事からも亜鉛を摂取するよう意識することも大切です。

1日の上限摂取量は成人男性40〜45mg・成人女性35mgが目安

亜鉛には、「耐容上限量」といって摂取量の上限値が設定されています。上限値を超えなければ、健康障害を起こすリスクがないとされているため、亜鉛のサプリメントを摂取する場合は耐容上限量も確認しておきましょう。

亜鉛の耐容上限量は、成人男性で40~45mg,成人女性で35mgが目安です。具体的には、年齢ごとに以下のように設定されています。

  • 成人男性(18~29歳):40mg/1日
  • 成人男性(30~49歳):45mg/1日
  • 成人男性(50~64歳):45mg/1日
  • 成人男性(65~74歳):45mg/1日
  • 成人男性(75歳以上):40mg/1日
  • 成人女性(18~75歳以上):35mg/1日

通常の食事からは過剰摂取に至るケースは少ないですが、サプリメントを摂取する場合はこの耐容上限量を超えないように意識することが重要です。特に長期的に亜鉛のサプリメントを利用する方では、知らないうちに摂取量が過剰になっている場合があります。

栄養素は多く摂れば良いというものではなく、適正な量を守ることが健康維持に不可欠です。パッケージに記載されている推奨量を必ず確認して使用しましょう。

参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント

過剰摂取は吐き気・下痢・銅不足などの健康被害を引き起こす

亜鉛を過剰に摂取すると、さまざまな健康被害を招く恐れがあります。吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状は、亜鉛を過剰に摂取したときに起こることがある代表的な症状です。これらは一時的な症状で済む場合もありますが、長期間にわたり高用量を摂取し続けた場合、健康被害が出ることもあるので注意しましょう。

また、消化器症状の副作用の他に、銅の吸収が妨げられることも知られています。亜鉛と銅は吸収経路が競合するため、亜鉛を過剰摂取すると銅欠乏を招くリスクがあるのです。銅が不足すると、貧血や神経障害などの症状につながることがあります。

サプリメントによる亜鉛の補給は便利ですが、安全性を確保するためにも、適切な量を守ることが何よりも大切です。もし、亜鉛のサプリメントを使用している最中に気になる症状が出た場合は、すぐに使用を中止して医師に相談してください。

亜鉛に関してよくある疑問をQ&A形式で解決

亜鉛に関する疑問や不安を持っている方は少なくありません。ここでは、日常生活において良くある質問をQ&A形式でまとめ、分かりやすく解説します。亜鉛の摂取方法やサプリメントの使い方、効果が出るまでの期間など基本的な知識を押さえておくことで、安心して適切に摂取できるようになるでしょう。

亜鉛は、健康を維持するうえで欠かせない栄養素ですが、正しい理解と使い方が重要です。ここからは、亜鉛に関する以下の6つの質問にお答えします。

  • 食事だけで亜鉛を補うのは難しいの?
  • 毎日亜鉛のサプリメントを飲み続けてもいいの?
  • 亜鉛サプリメントの効果が出るまでどれぐらい?
  • どのタイミングで亜鉛サプリを飲むのが効果的?
  • 鉄やカルシウムのサプリと一緒に飲んでも大丈夫?
  • 妊婦や授乳中でも亜鉛サプリは飲める?
食事だけで亜鉛を補うのは難しいの?

亜鉛は多くの食品に含まれていますが、毎日の食事だけで必要量を安定して摂取するのは難しい場合があります。特に加工食品や外食中心の生活をしていると、亜鉛の摂取量が不足しがちになるので注意してください。動物性食品に含まれる亜鉛は吸収率が高いので積極的に摂るようにすると良いでしょう。

しかし、現代人の食生活では植物性食品が中心になることも多く、フィチン酸の影響により亜鉛の吸収が阻害されてしまうことも少なくありません。

また、ストレスや喫煙、飲酒などの生活習慣も亜鉛の消費量を増やす要因となります。こうした背景から、十分な量を食事から毎日摂るのが難しいと感じる場合は、必要に応じてサプリメントを活用することが推奨されます。

毎日亜鉛のサプリメントを飲み続けてもいいの?

亜鉛のサプリメントを毎日摂取しても、基本的には問題ありません。ただし、毎日継続して摂る場合は、摂取量に注意が必要です。亜鉛サプリメントは食事からの摂取が不十分な場合に有効ですが、サプリメントの使用により亜鉛の摂取量が過剰になってしまうリスクもあります。

日本人の食事摂取基準によると、成人男性の1日あたりの耐容上限量は40~45mg、成人女性では35mgとされているので、こちらの量を目安に摂取しましょう。耐容上限量を超えて摂取すると、銅の吸収が妨げられたり、胃腸障害が出たりするリスクがあります。

特に、自己判断で高用量を長期的に摂取するのは避けるべきです。医師や薬剤師に相談し、自分の食生活や健康状態に応じた用量で適切に取り入れる必要があります。

亜鉛サプリメントの効果が出るまでどれぐらい?

亜鉛サプリメントや食事からの亜鉛摂取によって健康への影響を実感するまでの期間は、個人差が非常に大きいため一概には言えません。医薬品ではないので、「効果が出るまでに◯日かかる」といった明確な期間を示せないのです。

一般的には、数週間から数カ月程度継続すると、体調の変化を感じるケースがあるとされています。しかし、体質や年齢、栄養状態や生活習慣などの複合的な要素も影響するため、亜鉛不足による気になる症状がある場合は継続的に摂取しつつ様子を見ることが大切です。

無理なく続けられる摂取スタイルを確立し、長期的な視点で亜鉛のサプリメントを取り入れましょう。

どのタイミングで亜鉛サプリを飲むのが効果的?

亜鉛のサプリメントを使用するのは、食後が良いとされています。サプリメントなので基本的にいつ使用しても構わないのですが、空腹時に摂取すると人によっては胃に負担がかかることがあるのです。また、食後に摂取することで消化吸収が促進され、亜鉛が体内で効率良く利用されやすくなると言われています。

亜鉛の吸収を高めるために、動物性たんぱく質やビタミンCなども同時に摂取するのがおすすめです。この他、亜鉛は鉄やカルシウムなどのミネラルと競合しやすく互いの吸収を妨げる可能性があります。

そのため、これらのサプリメントも併用する場合は、摂取時間をずらす工夫が必要です。例えば、朝食後に亜鉛を摂り、夕食後に鉄を摂取するなどすると良いでしょう。

さらに、個人の生活スタイルや体調に合わせて、飲みやすいタイミングを見つけるのも継続的な摂取をするうえで重要なポイントです。毎日のルーティンに無理なく組み込めるようにすることで、亜鉛の摂取が長続きしやすくなります。

鉄やカルシウムのサプリと一緒に飲んでも大丈夫?

亜鉛は、鉄やカルシウムなどのミネラルと吸収経路が競合しており、同時に摂取すると互いの吸収率が低下する可能性があります。亜鉛と鉄を同時に摂取したり、過剰に摂ったりすると鉄の吸収が阻害されて鉄分不足に陥り、鉄欠乏症になるケースも珍しくありません。

こうした競合を避けるためには、摂取のタイミングをずらす工夫が必要です。数時間程度の間隔を空けると、競合を最小限に抑えられるので吸収に影響をおよぼすことが少なくなるでしょう。また、カルシウムを多く含む食品との併用も吸収効率に影響します。複数のサプリメント併用する際は、医師や薬剤師、管理栄養士などに相談すると安心です。

妊婦や授乳中でも亜鉛サプリは飲める?

妊娠中や授乳中でも亜鉛のサプリメントを使用できます。これらの時期は、通常よりも多くの亜鉛が必要です。亜鉛は胎児の発育や免疫機能、酵素の働きに関与するため、十分な量の摂取が求められます。妊娠中は、周期が進むにつれて血清中亜鉛濃度が低下するため、より多くの亜鉛を摂取しなければなりません。

厚生労働省は、妊娠中は1日2mg、授乳中は1日3mgを通常の摂取量にプラスすることを推奨しています。ただし、サプリメントで補う場合は、過剰摂取にならないよう注意しましょう。サプリメントの使用に加えて、妊娠中や授乳中はバランスの取れた栄養摂取を心がけることが重要です。

参考:厚生労働省 亜鉛(Zn)

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